第10 回日本抗加齢医学会総会を開催するにあたり、会員の皆様と抗加齢医学・医療に興味をお持ちの皆様に一言ご挨拶申し上げます。
2001 年に発足した日本抗加齢医学会は予測を越えて会員数が増加し、昨年の総会には約3,000 名の方々が参加されました。毎年総会では、抗加齢医学・医療に関する発表・討論を通して、日常の医療に役立ち国民の健康長寿に貢献できる新情報を提供してまいりました。
今回は主テーマに「Inside Out, Outside In」を取り上げました。つまり、「細胞、組織と個体が相互にどのように影響しているか」また「環境に対し生体がどのように応答し、表現しているか」さらに、臨床的には抗加齢医学・医療の立場から「外面的アンチエイジングが内面にどのような影響を及ぼすか」また逆に「内面的アンチエイジングが外面にどのような影響を及ぼすか」を考えて行きたいと思います。会員の方々の積極的な参加のお陰で今年は200
を越える一般演題の応募がございました。今年も参加される皆様に抗加齢医学に関する新情報を満喫していただくため、シンポジウムに加え、新たにWhat's
New 2010 のセッションを3日目午後に設け、最先端情報をお届けいたします。一方、会員による臨床・基礎研究の発表を重視し、応募いただいた多数の演題の中から選別された優秀な4演題をプレナリーセッションとして、2日目午後にメインホール:第1
会場(他の会場は閉鎖)で発表いただきます。
また、第10回総会は本学会の歩みを振り返る会でもあり、節目でもあります。さらに、日本の抗加齢医学の現状での問題点を明らかにし、日本の医療における抗加齢医学の役割を明確にするためパネル討論形式で「アンチエイジング医学はどこまで日本国民の健康に貢献できるか−現状と展望−」を、3日目午前に企画いたしました。神戸市の先端医療振興財団理事長の井村裕夫先生を始め、厚生労働省老健局老人保健課長の宇都宮
啓 先生、全国保険医団体連合会会長の住江 憲勇 先生、社団法人日本病院会理事・予防医学委員会委員長、日本人間ドック学会 副理事長の宮下 正弘
先生など日本の医学・医療で中心的なお仕事をされている方々にパネリストになっていただきました。パネラーにご意見を頂き、参加者の皆様とともに考え、日本抗加齢医学会が、高齢社会である日本国民の健康増進と生活の質向上に一層貢献するにはどうすればよいかを考えて行きたいと思っています。
特別講演として「生体リズムと生活習慣病」を京都大学薬学部の岡村均教授に、また「Genomic and epigenomic principles
of cancer treatment」をBurzynski 先生にお願いいたしました。また、招待講演として光とミトコンドリアの問題に関する御研究を長年続けてこられたドイツDusseldorf
のJ Krutmann 教授に「Roles of Mitochondria in Aging and Photo-Aging」を、SOS 応答で新しい見解を出されたボストン大学のBA
Gilchrest 教授に「UV-Induced DNA Damage, Photoaging, and the Role of Telomeres」の話題で、会員の皆様に新しい情報を提供していただきます。
今回も近隣のアジア諸国を始め、ヨーロッパ、北・南米諸国からの参加者には例年通りインターナショナルセッションで発表・討論を頂きます。
新しい試みとして、2日目午後に集中的にコメディカルのかたがた主導の3 セッション「栄養士が考えるアンチエイジング」「エステティックにおけるアンチエイジングへの取り組み:現状と今後の展望」「運動とアンチエイジング:最新エビデンス」を企画いたしました。
学問だけではなく、抗加齢医学・医療の実践の場として、ランチョンセミナーでは1 食700 キロカロリーほどの、健康的でたいへん美味しい京弁当を、3
日間日替わりで味わっていただきます。これを食べていただくだけでも学会に参加して満足だったと感じていただけるでしょう。国立京都国際会館のシェフご自慢のヘルシーで美味な料理なのです。
抗加齢医療に携わる多種の専門家の方々のハーモニーなくしては国民の健康長寿を達成するのは困難と考えられます。第10回総会では、医師、歯科医師、薬剤師、栄養士に加え、企業も含めた医療全般にかかわる多種の専門家の方々を中心とした企画を通して抗加齢医学・医療にかかわる人々の一層の意思疎通を図りたいと考えております。学会での疲れは初夏の京都の散策や美味しい料理で癒してください。6月11日〜13日の3日間、是非、京都国際会館にお越しください。多くの領域からのご参加を心よりお待ちいたしております。